JPINS/文 日本企業(中国)研究院の執行院長を務める陳言氏は、2022年2月23日に中国日本商会の三資企業部会で、「2022年中国経済の持続的発展----技術革新、企業ガバナンスおよび国際経済環境の変化」と題する講演を行った。東芝、日立、NEC、リコー、いすゞ自動車、コクヨなど40社以上の企業から60人余りの代表者が講演を聞き、陳言氏と交流した。

陳言氏はまず2022年に中国経済が持続的な成長を遂げた理由について語った。陳言氏は不穏な欧州と比べて、東アジアは全体的に安定した国際環境を維持しているという見方を示した。欧米の厳しい新型コロナウイルスの流行と比べて、東アジアの中でも特に中国は新型コロナ対策において非常に効果を上げている。中国の一人あたりのGDPはすでに1万ドルを超えているが、依然として米国の3割にも達していない。このことは、中国にはまだまだ所得の増加に大きな余地があり、物事が適切に扱われるならば、今後も長期にわたって中・高速成長を遂げられることを意味している。また、これらの要素を考慮に入れた経済協力開発機構(OECD)の予測によると、2022年の中国経済の成長率(5.1%)は日本(3.4%)を上回り、2023年に中国は5.1%前後を維持するのに対し、日本はわずか1.1%に下がるという。

陳言氏は、IT技術やインターネットプラットフォームの経済が中国で発展しており、一方で中国の技術イノベーション、産業構造の更新および経済発展の重要な推進力となっているが、もう一方で、プラットフォームの独占、自由競争の制限などの新たな問題を招いており、社会で議論が生じると見ている。中国の社会は情報技術と製造の融合のために尽力しており、ITの力によって中国の新たな生産能力を改めて作り出そうとしている。このうち、自動運転や5G、IoTなどは中国が集中的に開発や応用、商業化への発展に力を注いでいる主要な分野だ。

中国恒大の危機は国内外から大きな注目を集めている。日本における90年代の不動産バブルの崩壊過程は広く知られており、2008年前後の米国リーマンショックも記憶に新しい。しかし、陳言氏は、制度面において中国の不動産は日本や米国と大きく異なっているため、中国恒大はリーマンのようにはならないと見ており、中国の土地価格や住宅価格は過去数カ月の間、あまり変化しておらず、特に暴落も生じていない。少なくとも今のところはいわゆる中国経済を脅かすような要素になっていない。もちろん、恒大事件および不動産業の問題は、現代の企業ガバナンスと優良企業の管理構造の構築が中国の多くの大企業にとって急を要する事柄であることを示しているが、さもなければ他の業界で同様の事態が発生することになる。

中国が身を置いている国際環境、とりわけ中日関係において、現在の大きな問題は日本の経済安全保障の法整備であると陳言氏は見ている。関連法律が6月以降に施行されると、中日両国の経済関係にどんな影響が及ぶか、現時点では何とも言えないが、多くの日本企業の中国における業務も新たなモデルチェンジを経験するかもしれない。

日本企業から参加した多くの代表者は、中国の土地制度や都市人口の変動と高齢化問題、デジタル人民元が今後与える影響、人民元の国際化の問題などについて陳言氏と交流した。

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