『必読』ダイジェスト 民間企業が生き生きとしていれば、経済も活気づく。今の段階で民間企業の発展にはどんな具体的な悩みや難題があるだろうか?どんな具体的な希望や要求があるのか?民間企業の自信を高めるためにはどこから着手すべきか?2023年9月から10月まで、オンライン経済ニュースメディアの「界面新聞(上海報業集団の傘下)」は、アンケート調査や電話およびEメールによるインタビューなど様々な形式で、民間企業413社から有効な回答を集めた。

11月13日に公表された調査研究の結果によると、今回の調査研究の対象は広い範囲を網羅している。業界の分布から見ると、第一次、第二次、第三次産業の占める比率はそれぞれ2.4%、30%、67.6%で、中でも、比率が最高だった上位3位の業界は順に製造業、情報伝達・ソフトウェア・情報技術業、卸売および小売業で、比率は順に23.2%、19.6%、13.6%だった。労働者の雇用規模から見ると、1000人以上が4割を占め、1000人以下が約6割を占めたが、そのうち50人以下および100人から500人の規模が占める比率がそれぞれ25%、16.2%だった。地域の分布から見ると、調査研究の対象となった民間企業は主に京津冀(北京・天津・河北)、珠江デルタおよび長江デルタ地区で、それらの地区が占める割合は順に23.5%、39.5%、18.2%で、他の地域が占める比率は合わせて18.9%だった。

調査を受けた民間企業からの回答の要点は以下の通り。

・経営予想は依然として悲観的

 上半期の売上高が10%以上増加した民間企業は43.1%に達したが、前年同期比が基本的に昨年同期の比率と横ばいだった企業は17.2%、前年同期比で売上高が減少した企業は27.4%で、両者を合わせた比率は44.6%だった。

調査を受けた民間企業のうち、「第4四半期の経済下降圧力がさらに増大する」と予想した企業は33.9%で、「経済情勢が全体的に改善する」と予想した企業の24.2%を明らかに上回っている。

・投資計画が全体的に保守的な傾向を示している

 最近の投資計画について、「当面、投資を増やす予定はない」と示した企業は20.3%で、「経営に必要な投資を維持するのみ」と回答した企業は39.2%、「成り行きを見守っている」という企業は25.7%で、投資の拡大を準備している企業はわずか14.8%だった。

・市場の需要不足こそ今直面している最大の問題

 調査研究によると、民間企業が直面している最大の問題は「市場の需要不足」であり、66.1%の企業がこの点を示しており、その後に続く問題としてはコストや政策環境で、比率はそれぞれ49.4%、46.7%だった。「政商関係および法治の保障の面でいっそうの改善が必要」と考える企業はそれぞれ19.1%、16%だった。

・コスト圧力は主に人件費に起因している

 「給料、(法律の規定に従って職員のために納める必要がある)社会保険料、積立金が主なコスト圧力の原因の一つになっている」という民間企業はそれぞれ49.6%、34.4%、22.8%だった。「税の徴収が主なコスト圧力の一因」と考える企業は31.2%だった。他のコスト圧力の原因において、原材料や資金調達コスト、賃料の比率はそれぞれ30%、24.9%、24.5%だった。

税の徴収と企業関連の費用の徴収において、32%の企業は「税率が高すぎる」と感じており、23%の企業は「付加価値税の控除不足の問題が存在している」と回答している。

・資金調達において直面している最大の問題は資金調達の手段が少ないこと

 「資金調達の手段が少ない」と回答にした企業は26.9%、「自社の信用ランクが低く、担保物が少なく、担保割引率が高い」と答えた企業は18.4%、「貸出金利が比較的に高い」と感じている企業は18.4%だった。この他に、融資周期が短いためブリッジローンを必要としている企業は5.8%、「中間部分で不適切な費用の徴収が存在している」と感じている企業は4.6%だった。

・法治環境は概ね改善されたが、まだ十分ではない。

 調査研究の対象となった民間企業において、「合法的な財産権や人権、知的財産権において、保護が整っている」と考える企業はそれぞれ59.5%、64.9%、48.5%だった。それらの保護が「深刻なまでに不足している」と思う企業はいずれも9.7%未満だった。訴訟と裁判における地位の平等の保障において、「保護が行き届いている」と思う企業は50.9%で、「非常に不足している」と感じる企業は11.5%だった。

・監督管理の実施で直面する主要な問題は、多岐にわたる検査及びその回数が多すぎること

 監督管理の実施に対して、「検査が多岐にわたる」と考える企業の比率が最高(16.7%)で、「検査を実施する回数が多すぎる」と感じる企業の比率が次に多く(16.0%)、「過度の検査と監督管理の不徹底が同時に存在しており、法律や法規に違反した営業行為に対する監督管理が明らかに不足している」と思う企業は11.9%で、「‟過度に記録を残す”という形式主義の問題が存在する」と考える企業は11.4%だった。

・3割以上の民間企業がプロジェクト入札および政府による購入の面で不公平な扱いを受けている

 「コネ」の状況が存在し、「明らかに利益面で関係する企業に傾いている」と感じる企業は16%で、「顕著な地方保護主義が存在する」と思う企業は15%、「所有制における偏見や差別的な扱いが存在する」と考える企業は15%だった。

・政商関係で直面している最大の問題は政策の目まぐるしい変化

 調査研究の対象となった民間企業において、「現地の政商関係には問題がなく、現地政府は企業を重視している」と思う企業の比率は80.4%と高かった。しかし、政商関係に存在する問題において、「政策が目まぐるしく変化している」、さらには「前後に矛盾がある」という考えを示す民間企業の比率は13.8%で、「現地政府に怠慢や手抜きが存在する」と思う企業は10.9%、「現地政府からの干渉が多すぎる」と感じる企業は9.9%、「現地政府による企業への支払いに滞納が存在すること」を明らかにした企業は9.7%、「政府と企業のコミュニケーションがスムーズではない」と感じる企業は9.4%、現地政府による悪徳行為が存在することを指摘した企業は依然として3.6%ある。

・8割以上の民間企業が優遇政策を受けている

 「いかなる優遇政策も受けていない」と回答した企業が調査研究対象企業全体の14.5%を占め、「1つの優遇政策を受けた」と答えた企業は43.4%で、「2つ以上の優遇政策を受けた」という企業は42.1%だった。

しかし、調査研究において、「政策をすぐに理解するのは難しかった」と感じている企業は21.5%、「手続きが煩雑で、実現が容易ではない」と考える企業は20.6%、「企業への優遇政策は持続性に欠けている」と感じている企業は16.2%、「企業への優遇政策は狙いが定まっていない」と感じている企業は14.8%だった。

・規模が小さいほど困難も多い

 交差検証(クロスバリデーション)を経て、調査担当者は小規模の民間企業がより多くの困難に直面していることに気づいた。税収および企業関連の費用の面で直面している問題がより多く、人件費や賃料の圧力が高く、資金調達の面でより大きな困難に直面しており、政商関係に対する満足度もかなり低く、いかなる優遇政策も受けていない割合がより高い。従って、会社の規模が小さいほど、「最近新たな投資を何も行わない」と示した企業の割合が、サンプル群の中でより高いことが顕著に示されている。

(『日系企業リーダー必読』2023年11月20日の記事からダイジェスト)

大手企業を含む多くの日系企業が購読している『必読』

『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。

現在、『日系企業リーダー必読』の購読企業は、世界ランキング500にランクインした日本企業を含む数十社にのぼります。

サンプルをお求めの場合、chenyan@jpins.com.cnへメールをください。メールに会社名、フルネーム、職務をご記入いただきます。よろしくお願いいたします。

メールマガジンの購読

当研究院のメールマガジンをご購読いただくと、当方の週報を無料配信いたします。ほかにも次のような特典がございます。

·当サイト掲載の記事の配信

·研究院の各種研究レポート(コンパクト版)の配信

·研究院主催の各種イベントのお知らせ及び招待状

週報の配信を希望されない場合、その旨をお知らせください。