『必読』ダイジェスト 中国国家民政部が2月8日に発表した最新データによると、2024年の全国の婚姻登記件数はわずか610万6000組で、1980年以降の45年間で最低記録を更新した。この数字は2023年よりも157万4000組の減少であり、下げ幅は20.5%にのぼる。コロナ禍後に小幅な反動増があったものの、中国の婚姻件数は再び長期的な下降トレンドに入り、人口構造・経済圧力・婚姻観念の深刻な変化をみせている。
長期的に婚姻データを追跡している人口学の専門家何亜福氏はメディアに対し、「2014年から2022年にかけて、中国の婚姻登記件数はすでに9年連続で減少している」と語った。2023年の婚姻登記件数は前年よりも上昇したものの、それは2020~2022年のコロナ禍の影響を受けたもので、多くのカップルが結婚の時期を遅らせた結果であり、そのために2023年には反動による結婚ブームが起きた。しかし2024年には婚姻登記件数は減り、コロナ禍後の反動ももはや収束に向かっていることを示している。
婚姻登記件数の減少には、若者の数の減少、婚姻適齢人口の性別比のアンバランス、初婚年齢の上昇、結婚コストの高騰や結婚観念の変化など、数多くの理由が考えられる。なかでも人口数と構造的要素が婚姻データの基本的なトレンドを決めている。
全国第七回国勢調査のデータによると、中国の生存人口は80年代生まれが2億1500万人、90年代生まれが1億7800万人、00年代生まれが1億5500万人となっている。出産適齢期の女性の数を例にとると、第七回国勢調査のデータから、2025年の中国の15~49歳の女性の数は2020年に比べ1600万人余り減少していると考えられ、なかでも2025年には20~39歳の女性の数が、2020年より1400万人余り減少している。
次の婚姻適齢人口の性別比のアンバランスについては、20~40歳の男性の人口は女性よりも1752万人多い。こうした構造的な問題は、中国の今後の人口情勢のゆくえを大きく左右する。
初婚年齢の遅れも重要な原因となっている。国勢調査のデータによると、2010年の中国の平均初婚年齢は男性が25.75歳で、女性が24歳であった。2020年には平均初婚年齢は男性が29.38歳、女性が27.95歳に上昇している。
結婚や出産についての観念の変化も奥深いところでその原因となっている。若い世代の婚姻に対する姿勢は、「必須のもの」から「選択肢の一つ」へと変わっている。経済的な不安定やキャリアアップへの圧力、個人の自由の追求などといった風潮が晩婚化や遅い出産をうながし、ひいては結婚せず、出産しないという現象も普遍的なものとなりつつある。
中国で出生する人口のほとんどが婚姻内出産であるため、婚姻件数の減少は直接出生人口数に影響を与える。2024年には、コロナ禍期間中の反動としての出産増、また「辰年が好まれる」という傾向の影響から、出生数は上昇に転じたが、2024年の婚姻登記件数は大幅に減少したため、2025年の出生人口は長期的な下降トレンドに入るとみられる。
結婚する人が減る一方で、離婚する人は増加している。2024年の離婚登記件数は262万1000組で、前年より増加している。またこのデータは2024年の協議離婚のデータで、訴訟離婚のデータは含まれていない。2024年の協議離婚登記は前年よりも2万7300組増えたが、増加数は多いとはいえない。
全面的な離婚データは、一般的に年度民政事業発展統計広報のなかで発表される。「2023年民政事業発展統計広報」によると、2023年の離婚件数は前年よりも72万6000組増え、25.2%という最近まれにみる大幅増となった。これは三年間のコロナ禍で頻繁に家に閉じ込められることになったため、多くの夫婦が同じ空間で過ごす時間が大幅に増え、それにより夫婦間の摩擦が起こる機会が増えたことで、離婚カップル数の大幅増につながったとも言われている。
(『日系企業リーダー必読』2025年2月5日-20日の記事からダイジェスト)
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