『必読』ダイジェスト 蘇州は「地上の天国」と呼ばれるだけでなく、さまざまな統計データの中で常にランクインしている都市でもある。
最新の発表データによると、蘇州は2024年に、社会消費財小売総額が10043.7億元に達し、成長率は4.8%で、全国平均レベルより1.3ポイント高かった。現在、中国大陸には26の「国内総生産(GDP)1兆元都市」があるが、社会消費財小売総額が1兆元を超えているのは上海、重慶、北京、広州、深セン、成都、蘇州の7都市にとどまり、そのうち6都市はいずれも省級または副省級都市で、唯一の地区級市である蘇州は、再び注目されるようになっている。
社会消費財小売総額とは、企業が取引を通じて個人、社会集団に直接販売した非生産、非営利用の実物商品の金額、及び飲食サービスを提供して得た収入金額を指す。この指標は商品流通の最終段階を起点にして、都市・農村住民の生活消費と社会集団の公共消費の状況を観察するものである。
簡単に言えば、2024年通年で蘇州市の企業層が、住民と社会グループに販売した消費財の総量は、一線都市に匹敵する良い成績を収めたということだ。
2024年現在、蘇州市の常住人口は約1295.80万人で、都市化率は82.48%に達している。都市規模について言えば、蘇州は上記の他の6都市に比べて最も小さい。しかし、一人当たり指標について言えば、蘇州市の一人当たりGDPは19.09万元に達し、上海、南京を上回っている。蘇州全住民の一人当たり可処分所得は77524元で、全国の1.88倍、江蘇省の1.40倍である。
消費データは蘇州が人々に一貫して与えてきた「豊かな都市」という印象を裏付けている。自動車消費だけを見ても、2024年12月時点で、蘇州市の自動車保有台数は557万台に達した。これは北京、上海、深センに次ぐ数字で、急速に増加している。
2024年12月に開催された中央経済工作会議は、「国内需要の全方位的拡大」を2025年の最重要課題と決め、消費の強力な喚起、投資効率の向上を強調した。この角度から見ると、蘇州という消費分野の「優等生」は、どのようなヒントをもたらしてくれるのだろうか。
データは、次のような常識を説明しているにほかならない。蘇州人の消費能力が高いのは、住民が消費できるお金を持っているからであり、都市の富は「民間に富を蓄える」ことを実現している。ここ数年、消費の活性化に力を入れている中で、蘇州の住民及び各種機関は、着実に「カネを使う」上で貢献している。
この論理を簡略化することができるかも知れない。蘇州市は35の工業大分類が比較的整ってしており、国内の工業で全体的な規模と生産量が最も大きく、関連設備が最も揃っており、垂直統合能力が最も強い都市の一つだ。このような産業規模により、蘇州は深センに次ぐ中国第2位の移民都市――常住人口の半数以上が外来人口となっている。蘇州市も比較的友好的な定住政策を打ち出しており、高等専門学校(短大)以上の学歴は簡単に戸籍を取得でき、ポイント制で戸籍を取得する際のハードルも高くない。
このような巨大な産業システムで、蘇州市政府は典型的な「小さな政府、大きな社会」という配置である。普通の地区級市である蘇州の行政機関の配置は、同レベルの経済規模の都市に比べて、典型的な「小さな馬が大きな車を引っ張る(自身の能力を超えている)」部類に入っているが、蘇州の行政機構の事務効率は、「社会組織(民間団体)の大きい都市でもあり、政府は大量の事務をサービス購入という方法によって社会組織に任せており、効率と透明性の上でより優れている」と人々に称賛されている。蘇州工業パークはモデルケースとも言え、中国政府の「行政簡素化と権限委譲、サービス最適化」改革において終始全国の先頭を走っている。
同様に蘇州市は強力な工業システムを擁しているため、一線都市ではないが、大学の本科(学部)卒業生の就職率は一貫して比較的高く、本科卒業生は蘇州を離れずに就職の機会を見つけることができるので、これらの若者は往々にして最も消費意欲と消費潜在力を持っており、都市に恒久的な活力と消費能力をもたらしている。そのため、蘇州市の住民はカネを使う勇気も気力もある。
蘇州市は、強固な工業基盤を持ち、民間投資が相対的に活発で、住民の雇用状況が良好であるため、消費意欲も比較的高い。データは蘇州の成果を示すと同時に、実は、「経済体の発展の質は、発展の常識をどの程度尊重しているかにかかっている」ことを強調している。このことは、都市にも、国にも言えることだ。
(『日系企業リーダー必読』2025年2月5日~20日の記事からダイジェスト)
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