『必読』ダイジェスト 中国の大手経済紙『経済観察報』が興味深い研究記事を掲載した。記事は、今年上半期の統計データに基づき、私営工業企業(以下、私営企業と略)、国有持株企業(以下、国有企業と略)、外商及び香港・マカオ・台湾企業投資企業(以下、外資企業と略)が「内巻(無意味で非理性的な競争)」の影響を受ける程度を分析した。記事は直接には表現していないが、一連の指標は一つの結論を導き出している。それは、外資企業の「内巻」に対する抵抗力が最も強いことだ。
記事の筆者は北京大成企業研究院研究部の徐鵬飛主任で、8月5日に掲載された。
記事はまず、次のように指摘する。「多くの業種が“内巻”に陥った結果として、今年上半期の工業企業全体のランニングコストは依然として高水準にあり、資金逼迫は依然として深刻化しており、企業の利益状態は依然として理想的とは言えない。工業企業の利益総額の累計伸び率は2か月連続で低下し、1〜6月の工業企業の利益総額は前年同期比1.8%低下し、そのうち6月は前年同期比4.3%低下した」
ある業種の「内巻」度を判断する主な指標の1つとして、売掛金の平均回収期間が挙げられる。売掛金の平均回収期間が長いほど、顧客からの滞納が深刻であり、「内巻」の苦しみも深まることを示している。私営企業、国有企業、外資企業のなかで、外資企業の売掛金の平均回収期間は79.4日で、民間工業企業の70.7日より長く、国有企業の55.6日よりはるかに長い。つまり、上記の3種類の企業のうち、外資企業が最も「いじめ」を受けている可能性があり、顧客が外資企業への支払いを滞納している期間が最も長いということだ。
とはいえ、外資企業の営業収入は悪くない。今年上半期、一定規模以上(年間売上高2000万元)の工業企業の営業収入は前年同期比2.5%増の66兆7791億元に達している。そのうち、私営企業の営業収入は前年同期比2.6%増の24兆6700、外資企業は前年同期比0.5%増の営業収入12兆5839億元で、国有企業の営業収入は前年同期比0.7%減の17兆9943億元だった。国有企業の営業収入の伸び率は3種類の企業の中で最も低く、4か月連続でマイナスとなっている。
だが、利益状態を反映する指標は、外資企業が最も優れており、同企業の「内巻」に対する抵抗力が3種類の企業のうち最も強いことを示している。
・利益総額上半期、一定規模以上の工業企業の利益総額は前年同期比1.8%減の3兆4365億元だった。そのうち、外資企業の利益総額は前年同期比2.5%増の8823億元に達し、3種類の企業のなかでパフォーマンスが最も良好だった。私営企業は前年同期比1.7%増の9389億元だった。国有企業は前年同期比7.6%減の1兆1091億元で、依然としてマイナスの伸びである。
・負債対総資産比率2025年6月末時点で、一定規模以上の工業企業の負債対総資産比率は57.9%で、前年同期比0.3ポイント上昇した。一方で、外資企業の負債対総資産比率は前年同期比0.3ポイント減の52.8%で、3種類の企業のなかで最も低かった。民間企業は前年同期比0.1ポイント増の59.4%で、全国平均を上回った。国有企業の負債対総資産比率は前年同期比0.3%増の57.5%だった。
・営業利益率2025年6月末時点で、一定規模以上の工業企業の営業利益率は前年同期比0.2ポイント減の5.2%だった。そのうち、外資企業は前年同期比0.2ポイント増の7.0%で、3種類の企業のなかで最も高かった。私営企業は前年同期と同水準の3.8%で、3種類の企業のなかで最も低かった。国有企業は前年同期比0.5ポイント減の6.2%だった。
・総資産利益率2025年6月末時点で、一定規模以上の工業企業の総資産利益率は前年同期比0.3ポイント減の3.8%だった。そのうち、外資企業は前年同期比0.1ポイント増の5.7%で、3種類の企業のなかで最も高かった。私営企業は前年同期比0.1ポイント減の3.6%だった。国有企業は前年同期比0.5ポイント減の3.3%で、3種類の企業のなかで最も低かった。
(『日系企業リーダー必読』2025年8月20日の記事からダイジェスト)
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