研究院オリジナル 2023年3月後半、中国メディアの報道や評論は以下の日本企業および出来事を多く取り上げた。

「日本製」は中国でも依然として信頼の証

近ごろ、壹伽(上海)企業管理有限公司は虚偽広告を行ったことで、上海市市場監督局から46万4000元の罰金が科せられた。同社は仕入れた中国産の鉄鍋の柄などの部分に「Made in Japan」という文字を入れ、ネット上で販売した。鉄鍋の販売期間中、同社はさらに中国人俳優を日本人に仕立てて商品の宣伝ビデオを制作し、鉄鍋は実在しない日本の鋳造の老舗「伊藤家」との共同開発による商品とでっち上げ、「100年にわたって技術が受け継がれている」などの内容が消費者を欺き、惑わした。ある中国メディアはコメントを出し、この出来事は「日本製」の品質に対する高い評価が中国で依然として広く認められていることを示していると指摘した。

日本企業にとって大きな注目に値する中国のロボット企業

日本の三大通信キャリアの一つであるKDDIは近ごろ、上海有個機器人有限公司(YOGO ROBOT,略称はYOGO)に投資すると同時に、調達および検証、日本でのプロモーション計画を始動させると発表した。

関連報道によると、KDDIがYOGOに投資する主な理由は、日本が深刻な少子化による労働力不足に直面している中で、ロボットを通じてビルメンテナンスにおける人手不足の問題を解消したいからであり、YOGOが世界に先駆けて開発した多機能ロボット総合サービスシステムは、この分野で最も優れたソリューションの一つとKDDIは見ている。このシステムには650件もの特許が含まれており、そのうちの70%は発明による特許だ。KDDIは2023年末に日本での全面的な販売を開始する予定であり、実現すれば同ロボット総合サービスシステムにとって初の中国国外での発売となる。

あるメディアは、これまで長い間日本は世界のロボット産業の強国として君臨してきたが、中国は今すでに世界最大のロボット応用市場となっており、その市場の下で多くの優れたロボット企業が輩出されていると指摘した。チャレンジャーとして、又は協力者として、それらの企業はみな日本の企業から大きな注目を浴びている。

日本企業が中国企業と連携して日本の電力貯蔵および電池回収市場に対して反撃

最近、エジソンパワー(Edison Power Co., Ltd.)は中国の国軒高科と戦略的提携に合意し、両社はタッグを組んで日本の電力貯蔵および電池回収市場を開拓し、再生可能エネルギーの日本での普及を促進する。

エジソンパワーは、再生可能エネルギーの世界的な発展と2022年5月の『電力事業法』の改正により、日本の大規模な電力貯蔵電池産業の発展に新たなチャンスが到来したと見ている。中国の電池産業の急速な発展は、エジソンパワーに好ましい協力のチャンスをもたらしている。エジソンパワーが国軒高科との協力を選んだ理由は、国軒高科が中国の電池会社最大手の一つであり、リチウム鉱の採掘や加工、電池材料の回収システムの構築などの分野で全面的な配置を進めており、整備された電池の循環回収システムの初期構築をすでに完了しているからだ。

中国のメディアは、国軒高科とエジソンパワーによる業務提携は補完性が強いと見ており、国軒高科はセルやモジュール、BMSなどを提供できるのに対し、エジソンパワーは日本における電力貯蔵の顧客管理やEPCサービス、電力貯蔵システムの運用およびメンテナンスなどの市場側のサービスを担うことができる。

「バリュー戦争」で価格戦争に対応、広汽トヨタに勝ち目はあるのか?

2023年以降、中国の国内電動自動車と燃料自動車が同時に熾烈な「価格戦争」を繰り広げ、数十もの自動車ブランドが続々と参戦する中で、広汽トヨタは逆方向にかじを切った。3月23日、広汽トヨタはフルモデルチェンジをしたレビンの発表会で、同社の文大力副代表取締役が、「価格戦争はバリュー戦争に及ばない」というキャッチフレーズを声高に叫び、新エネルギー自動車の急激な拡大に直面していることを批判し、多くの自動車メーカーが「ただ速くなること」、「ただ変化すること」という風潮に巻き込まれて浮ついている中で、広汽トヨタは「価値至上主義を堅持し、長期的な視野が伴った道筋をしっかり歩む」意思を示した。

長きにわたって、トヨタは中国のハイブリッド自動車市場で支配的な地位を占めてきたが、2022年にその状況がBYDによって打ち破られ、BYDはDM-iシリーズで世間を驚かせ、電力および燃料消費、動力の整合、純電動航続などの面で非常に優れており、さらに10万元で購入することができ、コストパフォーマンスが極めて高い。2022年にBYDの車種が中国のハイブリッド自動車販売台数ベスト5を独占した。

明らかに、広汽トヨタはフルモデルチェンジしたレビンを「バリュー戦争」の重要な武器として用い、これによって不利な形成を挽回したいと思っている。そのために、広汽トヨタは惜しまずにコストをかけて、下準備を行った。今、百度などの検索エンジンに「レビン」と入力して検索すると、レビンのPR記事がさまざまなメディアにあふれているのを目にすることだろう。

確かに、フルモデルチェンジされたレビンは商品価値の面で人々の注目を引くほどの向上が見られる。レビンはトヨタの最新技術である「トヨタ第5世代ハイブリッドシステム」が初めて搭載された車種で、またスマート化の欠点が補われており、搭載されている最新のトヨタT-PILOTスマート運転補助システムは、同等クラスで唯一レベル3に準じる自動運転レベルが標準装備された車種であり、さらにスマート運転席、インテリジェントコネクテッドなどの同等クラスの中では先進的なスマート化された装備が設けられている。

とはいえ、広汽トヨタの「バリュー戦争」にも少なからぬ疑問を呈する声が上がっている。いくつものメディアが、技術路線が異なるため、レビンの主な競争相手であるBYDのDM-iの製造コストはトヨタのハイブリッド自動車よりも低いと指摘している。2月10日にBYDの秦PLUSDM-i2023のチャンピオンエディションが正式に発売されたが、設定された販売価格は9万9800元(レビンの最低価格は13万3800元)に下げられており、ハイブリッドカーにおける10万元の心理的な壁を打ち破った。これまでずっと、中国市場は常に価格戦争が大いにものを言う場所であり、特に大衆消費財分野ではほぼ無敵だ。今、自動車は中国でも大衆消費財になっているが、広汽トヨタは中国における日本家電の敗退という歴史を再び繰り返すのか?これは同社が真剣に考慮すべき問題だ。

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